風呂の蛇口の水漏れに気づくと、水道代の心配やどう対処すればよいかわからず焦ってしまうものです。
ポタポタと垂れるお風呂の蛇口の水漏れは、放置すると水道料金が上がるだけでなく、建物の腐食につながる恐れもあります。

しかし、水漏れの多くは内部の部品劣化が原因であり、正しい手順を踏めば自分で修理できるケースも少なくありません。
この記事では、水漏れの箇所ごとの原因特定方法から、具体的な修理方法までを詳しく解説します。

まず試したい!お風呂の蛇口から水漏れした際の応急処置

お風呂の蛇口から水漏れしているのを見つけたら、まずは慌てずに水を止める応急処置を行いましょう。
被害の拡大を防ぎ、落ち着いて原因を調査するために不可欠な作業です。
最初に試すべきなのは、蛇口本体や給水管についている「止水栓」を閉めることです。
止水栓が見当たらない場合や固くて回らない場合には、家全体の水道の元栓を閉める方法もあります。

これらの手順を確実に行うことで、安心して修理作業に取り掛かれます。

止水栓を閉めて一時的に水漏れを止める

浴室の蛇口からの水漏れを止める最初のステップは、止水栓を閉めることです。
止水栓は、蛇口本体に給水している管の途中にある水の供給を調整するための栓で、通常は壁から出ている給水管の根元に設置されています。
多くの場合、マイナスドライバーで回せる溝がついた形状をしており、この部分を時計回りに回しきることで水の供給が止まります。
お湯と水、両方の給水管にそれぞれ止水栓が付いているため、必ず両方を閉めてください。

止水栓が固くて回らない場合は、無理に力を加えると配管を傷つける恐れがあるため注意が必要です。
この作業により、家全体の水道を止めずに浴室の水漏れだけを一時的に止めることが可能です。

水道の元栓の場所と閉め方も確認しておこう

浴室の止水栓が見つからない、あるいは固くて回せない場合には、家全体の水の供給を止める水道の元栓を閉める必要があります。
戸建て住宅の場合、元栓は敷地内の地面にある「量水器」や「メーター」と書かれたボックスの中に設置されているのが一般的です。
マンションなどの集合住宅では、玄関横のパイプスペース内にあることが多いです。

元栓の形状はハンドル式やレバー式があり、ハンドル式の場合は時計回りに回し、レバー式の場合は90度動かすことで閉められます。
ただし、元栓を閉めるとキッチンやトイレなど、家中のすべての水道蛇口で水が使えなくなるため、作業前に家族に知らせておくことが重要です。

お風呂の蛇口から水漏れする原因は?場所別に解説

応急処置でひとまず水漏れを止めたら、次に風呂場の蛇口の水漏れ原因を特定する段階に移ります。
水漏れは、吐水口の先端、ハンドルの付け根、壁との接続部分など、発生する場所によって原因となる部品が異なります。
原因を正確に突き止めなければ、適切な部品交換や修理ができません。

まずは自宅の浴室で使われている蛇口の種類を確認し、どの部分から水が漏れているのかをよく観察することが重要です。
ここからは、蛇口の種類と水漏れ箇所別の主な原因について解説します。

最初に確認!お風呂で使われる蛇口の種類

お風呂で一般的に使用される蛇口には、いくつかの種類があります。
代表的なのは「壁付サーモスタット混合栓」と「壁付2ハンドル混合栓」です。
サーモスタット混合栓は、温度を自動で調整する機能があり、温度調節ハンドルと吐水・止水を切り替えるハンドルが分かれているのが特徴です。
一方、2ハンドル混合栓は、お湯と水の2つのハンドルをそれぞれ回して、温度と流量を調整するシンプルな構造です。

修理に必要な部品は蛇口の種類によって異なるため、作業を始める前に自宅の蛇口がどちらのタイプかを確認しておく必要があります。
TOTOやKVKといったメーカー名や品番が蛇口本体に記載されていることも多いので、合わせて確認しておくと部品探しがスムーズに進みます。

【水漏れ箇所別】蛇口の故障原因を特定しよう

自宅の蛇口タイプを把握したら、次は水がどこから漏れているのかを正確に特定します。
風呂場の蛇口で水漏れが起こりやすい箇所は、主に「吐水口の先端」「吐水口の根元」「ハンドル・レバーの付け根」「シャワーホースの接続部分」「蛇口本体と壁の隙間」の5つです。

ユニットバスなどで使用されている蛇口も同様で、これらの箇所からの水漏れは、内部にあるパッキンやカートリッジといった消耗部品の経年劣化が原因であることがほとんどです。
それぞれの場所で原因となる部品が異なるため、水漏れ箇所を正しく見極めることが、適切な部品を準備し、修理を成功させるための重要なポイントになります。

吐水口の先端からポタポタ水が垂れる

ハンドルやレバーをしっかりと閉めているにもかかわらず、吐水口の先端から水がポタポタと垂れ落ちてくる場合、蛇口内部にある部品の劣化が主な原因として考えられます。
2ハンドル混合栓の場合は、スピンドルという部品の先端についている「コマパッキン(ケレップ)」の摩耗が原因であることが多いです。
このコマパッキンが水の通り道を塞ぐことで止水していますが、ゴムが劣化すると隙間ができて水漏れが発生します。

一方、サーモスタット混合栓やシングルレバー混合栓の場合は、水の開閉や温度調節を制御している「バルブカートリッジ」という部品の故障が疑われます。
いずれの場合も、原因となっている内部部品を新しいものに交換することで、水漏れは解消されます。

吐水口の根元から水が染み出している

吐水口、いわゆるスパウトと呼ばれるパイプ部分の根元から水が染み出している場合、その原因は接続部分に使われているパッキンの劣化である可能性が高いです。
吐水口は左右に動かせるようになっているため、その可動部分の隙間を埋めるためにUパッキンやOリングといったゴム製の部品が使われています。

これらのパッキンは、長年の使用によって弾力性を失い硬化したり、ひび割れたりすることがあります。
パッキンが劣化すると密閉性が損なわれ、吐水口を動かした際などに付け根部分から水が漏れ出すようになります。
このタイプの水漏れは、風呂の蛇口本体と吐水口を固定しているナットを緩め、内部の劣化したパッキンを交換することで修理できます。

ハンドル・レバーの付け根から水が漏れる

水を出す・止めるときに操作するハンドルやレバーの付け根部分から水が漏れてくるケースでは、蛇口の種類によって原因となる部品が異なります。
お湯と水のハンドルが分かれている2ハンドル混合栓の場合、ハンドル内部にある「三角パッキン」の劣化が主な原因です。
このパッキンは、ハンドルの回転軸からの水漏れを防いでいます。

一方、レバーで操作するシングルレバー混合栓や、温度調節機能がついたサーモスタット混合栓の浴室蛇口の場合は、内部の「バルブカートリッジ」という部品の故障が考えられます。
また、カートリッジの周りに取り付けられているOリングの劣化も水漏れの原因となり得ます。
いずれも部品の経年劣化によるもので、新しい部品に交換することで修理が可能です。

シャワーホースの接続部分から水が漏れる

シャワーを使用する際に、蛇口本体とシャワーホースをつなぐ接続部分から水が漏れている場合、原因は大きく分けて2つ考えられます。
一つは、接続部分のナットの緩みです。
長期間の使用による振動などでナットが緩むことがあるため、まずはモンキーレンチなどを使って締め直してみるのが有効です。
それでも水漏れが改善しない場合は、もう一つの原因である内部のゴムパッキンの劣化が疑われます。

このパッキンは、接続部の密閉性を保つための重要な部品ですが、経年により硬化したり亀裂が入ったりして、その機能を失います。
新しいパッキンに交換することで、ほとんどの水漏れは解消されます。
シャワーホース自体に亀裂が入っている場合は、ホース一式の交換が必要です。

蛇口本体と壁の隙間から水漏れしている

蛇口本体が壁に取り付けられている部分の隙間から水が漏れている場合、その原因は取り付け脚(クランク管)に巻かれているシールテープの劣化がほとんどです。
シールテープは、壁内の給水管と蛇口をつなぐネジ部分の隙間を埋め、水漏れを防ぐためのものです。
このテープが長年の使用で劣化して緩んだり、硬化してひび割れたりすると、密閉性が損なわれて水が漏れ出してきます。
また、取り付けナットが緩んでいるだけでも水漏れにつながることがあります。

この箇所の修理には、一度蛇口本体を取り外し、古いシールテープをきれいに除去した上で、新しいシールテープを正しく巻き直す作業が必要です。
比較的難易度の高い作業となるため、慎重な対応が求められます。

【DIY】自分でできるお風呂の蛇口水漏れ修理の手順

水漏れの原因箇所を特定できたら、いよいよ自分で修理する手順に進みます。
作業を始める前には、必ず止水栓か水道の元栓を閉めて水が流れない状態にしてください。
適切な工具と交換部品を事前に準備し、手順に沿って作業を進めれば、多くの蛇口水漏れは自力での対応が可能です。

部品交換などの作業に自信がない場合でも、手順を知っておくことで業者に依頼する際の理解が深まります。
ここからは、これまで見てきた水漏れの箇所別に、具体的な修理方法を詳しく解説していきます。

修理を始める前に準備する道具一覧

蛇口の水漏れ修理をスムーズに行うためには、事前の道具準備が欠かせません。
作業途中で工具が足りないことに気づくと、手間が増えてしまいます。
一般的に必要となるのは、ナットの締め外しに使うモンキーレンチやウォーターポンププライヤー、ネジ用のプラスドライバーとマイナスドライバーです。

また、交換用のパッキンやカートリッジ、シールテープといった部品は、事前に蛇口のメーカーと品番を確認し、適合するものを購入しておきましょう。
その他、作業中の水滴を拭き取るための雑巾や、古いパッキン、シールテープのカスを取り除くための古歯ブラシ、細かい部品をつかむピンセットがあると便利です。
これらの道具を揃えてから作業を開始してください。

【吐水口の先端】ポタポタ水漏れをパッキン交換で直す方法

2ハンドル混合栓の吐水口からポタポタと水が漏れる場合、コマパッキンの交換で修理します。
まず、止水栓を閉めた後、ハンドルの上部にあるカラーキャップを精密ドライバーなどでこじ開けて外し、中のネジを緩めてハンドルを引き抜きます。
次に、モンキーレンチを使って蛇口本体のカバーナットを反時計回りに回して外し、その中にあるスピンドルという部品を取り出してください。
スピンドルの先端に古いコマパッキンが付いているので、これを新しいものと交換します。

あとは逆の手順でスピンドル、カバーナット、ハンドルの順に取り付ければパッキン交換は完了です。
最後に止水栓を開け、水漏れが止まったかを確認します。
サーモスタット混合栓の場合は、カートリッジの交換が必要です。

【吐水口の根元】パッキンを交換して水漏れを修理する手順

吐水口の根元からの水漏れは、内部のパッキン交換で対処します。
作業を始める前に、細かい部品が排水口に流れないよう、浴槽の栓をしておくと安心です。
まず止水栓を閉めた後、蛇口本体の下側にある吐水口を固定しているナットを、モンキーレンチで反時計回りに回して緩めます。
ナットが緩んだら、吐水口を手前にゆっくりと引き抜いてください。

蛇口本体側に溝があり、そこに古いUパッキンやOリングがはまっているので、ピンセットなどを使って取り外します。
新しいパッキンを溝にしっかりと取り付け、逆の手順で吐水口を差し込んでナットを締めます。
最後に止水栓を開放し、吐水口を左右に動かしてみて水漏れが解消されたかを確認してください。

【ハンドル・レバー】水漏れはカートリッジやスピンドルの交換で対応

お風呂の蛇口のハンドルやレバーの付け根から水漏れしている場合、蛇口のタイプによって交換する部品と手順が異なります。
2ハンドル混合栓では、ハンドルとカバーナットを外してスピンドルを取り出し、その軸にはまっている三角パッキンを新しいものに交換します。

一方、シングルレバー混合栓やサーモスタット混合栓の場合は、バルブカートリッジの交換が必要です。
レバーハンドルを固定しているネジを緩めてハンドルを外し、カートリッジを抑えているカバーなどを取り外します。
古いカートリッジを引き抜き、新しいものを正しい向きで装着してください。
製品によってカートリッジの外し方が異なるため、取扱説明書を確認しながら慎重に作業を進めることが重要です。

【シャワーホース接続部】パッキン交換で水漏れを止める方法

シャワーホースの根元からの水漏れは、接続部分のパッキン交換で対応できます。
まず、念のため止水栓を閉めてから作業を始めましょう。
蛇口本体とシャワーホースをつないでいるナットを、モンキーレンチやプライヤーを使って反時計回りに回して緩めます。
固着していなければ手で回せることもあります。

ホースを蛇口から取り外すと、接続部分に古いゴムパッキンが見えるので、これをピンセットなどで取り除きます。
新しいパッキンを同じ場所にはめ込み、ホースを再度接続してナットを締めてください。
このとき、ナットを強く締めすぎるとパッキンが破損する原因になるため、手で締めた後に工具で軽く増し締めする程度に留めます。
最後に止水栓を開け、水漏れが止まったか確認します。

【壁との隙間】シールテープを巻き直して水漏れを解消する

蛇口本体と壁の隙間から水漏れしている場合、シールテープの巻き直しが必要です。
この作業では必ず水道の元栓を閉めてください。
まず、蛇口本体を左右のクランク管に固定しているナットをモンキーレンチで緩め、蛇口を取り外します。
次に、壁に残っているクランク管を反時計回りに回して取り外します。

クランク管のネジ山に残っている古いシールテープや汚れを歯ブラシなどで完全に除去し、新しいシールテープをネジの根本から先端に向かって、時計回りに7~8回ほど隙間なく巻き付けます。
テープを巻いたクランク管を壁の給水管にねじ込み、蛇口本体を設置すれば完了です。
この作業は配管を傷つけるリスクもあり、失敗すると大規模なリフォームが必要になるケースもあるため、慎重さが求められます。

自分で直せない?そんな時はプロの水道業者への依頼も検討

自分で修理を試みても水漏れが直らない場合や、作業に少しでも不安を感じる場合は、無理をせずにプロの水道業者に依頼することを検討しましょう。
誤った作業は、さらなる部品の破損や水漏れの悪化を招く可能性があります。

特に、蛇口本体の寿命が原因である場合や、壁の中の配管に問題があるケースは、専門的な知識と技術が必要です。
また、賃貸住宅にお住まいの場合は、修理を行う前に必ず管理会社や大家さんに連絡し、指示を仰ぐ必要があります。
勝手に修理を進めると規約違反になることもあるため注意してください。

部品交換で直らない場合は蛇口本体の交換が必要かも

指示された手順で部品を交換しても水漏れが止まらない場合、蛇口本体そのものが寿命を迎えている可能性があります。
蛇口の耐用年数は一般的に10年程度とされており、長期間使用していると、内部の金属部分が摩耗したり腐食したりして、部品を新しくしても隙間が埋まらなくなることがあります。
また、蛇口本体に目に見えないほどの小さな亀裂が入っていることも水漏れの原因となります。

特に、吐水口やハンドルなど、複数の箇所から同時に水漏れが発生している場合は、本体の劣化が進行しているサインかもしれません。
このような状況では、部分的な修理ではなく蛇口全体の交換が必要となり、専門の水道業者に相談するのが最も確実な解決策です。

水道業者に蛇口の水漏れ修理を依頼した際の費用相場

水道業者に蛇口の水漏れ修理を依頼する場合、費用は作業内容によって変動します。
料金は一般的に「基本料金」「作業料金」「部品代」の合計で決まります。
パッキン交換のような簡単な作業であれば、総額で8,000円から15,000円程度が相場です。

カートリッジやスピンドルの交換になると、部品代がプラスされるため10,000円から20,000円程度が目安となります。
蛇口本体を丸ごと交換する場合は、新しい蛇口の価格にも左右されますが、30,000円からが一般的な費用感です。
業者によっては、出張費や深夜早朝の割増料金が発生することもあります。
トラブルを避けるためにも、作業を依頼する前には必ず複数の業者から見積もりを取り、料金体系や作業内容を明確に確認することが推奨されます。

まとめ

お風呂の蛇口から水漏れが発生した場合、その多くはパッキンやカートリッジといった内部部品の経年劣化が原因です。
まずは止水栓を閉めて応急処置を行い、水漏れの箇所を特定することで、適切な対処法が見えてきます。
簡単なパッキン交換であれば、道具を揃えれば自分で行うことも可能です。

一方で、修理を試みても改善しない場合や、壁との接続部からの水漏れなど難易度の高い作業の場合は、蛇口本体の寿命も考えられます。
その際は無理をせず、プロの水道業者への依頼を検討することが適切な判断です。
浴槽の蛇口トラブルに直面した際は、この記事で解説した原因の特定方法や修理手順を参考に、落ち着いて対応を進めてください。