「2階以上の部屋なら空き巣は入らない」と考えるのは早計かもしれません。実際には、高層階を狙った侵入窃盗も発生しており油断は禁物です。
この記事では、マンションやアパートの2階以上であっても空き巣に狙われやすくなる賃貸物件の特徴を解説します。高層階特有の盲点や侵入経路を理解し、賃貸でも可能な具体的な防犯対策を知ることで、住まいの安全性を高めることができます。
「2階以上だから大丈夫」は間違い?賃貸物件における空き巣被害の実態

賃貸物件を探す際、防犯面を考慮して1階を避け、2階以上の部屋を選ぶ人は少なくありません。しかし「階数が高いから安全」という認識は、空き巣被害の実態とは異なり非常に危険な思い込みです。
警察庁の統計データ「侵入犯罪の情勢 親友犯罪の情勢 データで見る侵入犯罪の脅威『侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和6年)』」を見ると、空き巣の侵入経路は4階以上でも3.7%あり、高層階が決して安全地帯ではないことがわかります。
さらに3階以下の共同住宅では1.8倍の6.8%に跳ね上がります。2階以上の賃貸物件に潜む空き巣被害のリスクについて解説します。
空き巣の侵入経路で最も多いのは「玄関(表出入口)」からの侵入
警察庁の「侵入犯罪の脅威 侵入犯罪の情勢 手口で見る侵入犯罪の脅威『侵入窃盗の侵入手口』」によると3階建以下・4階建以上ともに侵入窃盗では、侵入手段として「無締り」(鍵のかけ忘れやドアや窓が空いている状態)が42.5~51.0%と最も多く、次いで「ガラス破り」が8.5~18.1%となっています。
侵入経路としては、「表出入口」が47.6~61.2%で最も多く、次いで「窓」からの侵侵入が25.7~38.4%と多い傾向にあります。窓に比べて玄関は安全だと思われがちですが、特に2階以上になると「オートロックがあるから」という油断から鍵をかけ忘れるケースが多いためです。
空き巣はこうした心理的な隙を巧みに突き、宅配業者を装い施錠されていない玄関を狙ったり、窓ガラスを破壊したり悪質な手口で侵入するケースも発生しています。どの階に住んでいても玄関や窓の施錠は防犯の基本となります。
4階以上でも被害は発生!油断が招く侵入リスク
4階建て以上の共同住宅においても、侵入窃盗の被害は決してゼロではありません。侵入経路の多くは「玄関(表出入口)」ですが、「窓」からの侵入も依然として発生しています。
特に最上階やその付近の部屋では、屋上からロープなどを使ってベランダに降りてくる「下がり」という手口で侵入されるケースがあります。また「2階以上だから」という安心感から、夏場に窓を開けたまま就寝したり、短時間の外出時に施錠しなかったりすることが、空き巣に絶好の機会を与えてしまいます。階数に関わらず防犯意識を高く持ち、基本的な戸締りを徹底することが、侵入リスクを減らす上で不可欠です。
【要チェック】空き巣が狙う2階以上の賃貸物件が持つ5つの特徴

空き巣はやみくもに侵入先を選ぶわけではなく、事前に「侵入しやすい家」かどうかを入念に下見しています。2階以上の部屋であっても、特定の条件が揃うとターゲットになりやすくなります。ここでは空き巣が特に注目する、2階以上の賃貸物件が持つ複数の特徴を具体的に解説します。
例えば足場となる室外機や配管がある物件、人目につきにくい場所にある物件、単身者向けで留守が多い物件などが挙げられます。また、施錠を徹底していない場合も、空き巣に狙われるリスクが高まります。ご自身の住まいがこれらの特徴に当てはまっていないか、チェックしてみてください。
特徴1:雨どいや電柱など、侵入の足場になるものが近くにある
ベランダや窓のすぐ近くに侵入の足場として利用できるものがあると、空き巣に狙われる危険性が高まります。具体的には建物の外壁に設置された雨どいやガス管、エアコンの室外機などです。
また敷地内の物置や塀、近接する電柱や太い樹木なども、よじ登るための足場となり得ます。空き巣はこうした構造物を巧みに利用して2階や3階まで簡単に到達します。
内見の際には部屋の中だけでなく、建物の外周を歩いてみて、ベランダ周辺に足場になるようなものがないかを確認することが重要です。
特徴2:ベランダの壁が高く、一度侵入すると外から見えにくい
プライバシー保護の観点から、ベランダの壁がコンクリート製で高く設計されている物件は人気があります。しかし防犯上では大きな死角を生み出す原因にもなります。一度ベランダに侵入されてしまうと高い壁が目隠しとなり、外部から犯人の姿が全く見えなくなってしまいます。
これにより空き巣は人目を気にすることなく、時間をかけて窓ガラスを割るなどの作業に集中できます。ベランダの見通しが悪い物件は、空き巣にとって格好の犯行現場となり得るため注意が必要です。
特徴3:「2階以上だから」という油断で玄関や窓の鍵を開けっ放しにしている
空き巣の侵入手段で最も多いのが、鍵のかけ忘れである「無締り」です。特に2階以上の部屋に住んでいると「まさかここまで登ってくることはないだろう」という心理的な油断が生まれやすくなります。
その結果、ゴミ出しなどの短い時間の外出や、在宅中に換気のために開けていた玄関や窓の鍵を閉め忘れるといったことが起こりがちです。空き巣はこうした一瞬の隙を見逃しません。わずかな時間であっても家を空ける際には、玄関だけでなく全ての窓の鍵を確実に施錠する習慣を身につけることが被害を防ぐための最も基本的な対策です。
特徴4:屋上からベランダへ降りて侵入できる構造になっている
特にマンションの最上階やその近くの階層で注意したいのが屋上からの侵入です。この手口は「下がり」と呼ばれ、犯人が屋上からロープなどを垂らしてベランダに降り立ち、窓から侵入します。普段人が出入りしない屋上は、施錠管理が甘くなっているケースも少なくありません。
もし屋上に誰でも簡単に出入りできるような構造であれば、高層階であっても安全とは言えなくなります。屋上への扉が常に施錠されているかなど、共用部分の管理状況を確認することも、物件選びや防犯対策において重要なポイントです。
特徴5:周辺の人通りが少なく、街灯も乏しく夜間は暗い
物件自体の物理的な特徴だけでなく、周辺環境も空き巣がターゲットを選ぶ上で重要な要素です。
建物の裏手や路地沿いにある物件で夜間に人通りが少なくなり、街灯もまばらで暗い場所は特に危険です。こうした環境は、犯人が人目に付かずに建物に近づき、侵入作業を行うのに好都合だからです。
また隣の建物との間隔が狭く、死角が多い場所も狙われやすくなります。部屋を決める前には昼間だけでなく、夜間にも周辺を歩いてみて街灯の数や明るさ、人通りの状況を確認しておくと良いでしょう。
賃貸でもOK!自分でできる効果的な空き巣防犯対策

空き巣に狙われやすい物件の特徴を知ると不安になるかもしれませんが、賃貸物件であっても自分でできる防犯対策は数多く存在します。
大掛かりな工事が不要で、手軽に導入できる防犯グッズや日々の少しの心掛けで実践できる対策を中心にご紹介します。これらの方法を組み合わせることで、住まいのセキュリティレベルを効果的に高めることが可能です。警視庁「侵入窃盗の防犯対策」の防犯対策もぜひあわせてご覧ください。
補助錠を取り付けて「ワンドア・ツーロック」を徹底する
空き巣は侵入に5分以上かかると約7割が犯行を諦めるというデータがあります。
そのため侵入に時間をかけさせることが非常に有効な対策となります。クレセント錠に加えて、補助錠を取り付けることで「ワンドア・ツーロック」が実現でき防犯性を大きく向上させます。
賃貸物件では玄関に一つしかない物件でも後付けで補助錠が追加できます。最近では工事不要なスマートロックを活用して気軽にセキュリティを強化できます。窓の補助錠は窓枠に挟み込んだり、両面テープで貼り付けたりするタイプの補助錠が便利です。これらは工具不要で簡単に設置でき、退去時の原状回復も容易なため、安心して利用できます。
防犯フィルムを窓ガラスに貼り付けて強度を高める
空き巣の侵入方法の一つである「ガラス破り」への対策として、防犯フィルムが効果的です。
このフィルムを窓ガラスの内側に貼ることでガラスの強度が高まり、ハンマーなどで叩いても簡単には割れなくなります。侵入に時間がかかる上、大きな破壊音が発生するため、空き巣は犯行を断念しやすくなります。
窓ガラス全体に貼るのが理想ですが、クレセント錠の周りなど、狙われやすい部分に貼るだけでも効果は期待できます。透明なタイプを選べば、部屋の見た目や採光を損なうこともありません。
侵入者を光で威嚇するセンサーライトをベランダに設置する
夜間の侵入対策には、センサーライトの設置が有効です。人の動きや熱を感知すると自動的に強い光を放つため、ベランダに侵入しようとする犯人を驚かせ、威嚇する効果があります。突然の光は犯人の心理的なプレッシャーとなり、犯行を思いとどまらせるきっかけになります。
また、ライトが点灯することで周囲の住民に異常を知らせる役割も果たします。電源工事が不要なソーラー充電式や乾電池式の製品であれば、賃貸物件のベランダにも手軽に取り付けることが可能です。
ベランダや玄関周りに足場となるような物を置かない
日々の生活の中で、無意識に空き巣の侵入を手助けする「足場」を作っている可能性があります。
例えば、ベランダに置いたエアコンの室外機や、物置、ビールケース、大きなゴミ箱などは、2階へよじ登るための足場として利用される恐れがあります。これらの物は手すりから離れた場所に置く、あるいは室内で保管するなどの工夫が必要です。
また玄関周りに脚立などを置いたままにしないようにしましょう。整理整頓を心掛けることが、侵入の機会を与えない防犯対策につながります。
短時間の外出でも必ず全ての窓と玄関の鍵をかける
最も基本的でありながら、最も重要な防犯対策は、施錠を徹底することです。
「ゴミ出しだけ」「少し近所のコンビニまで」といった短時間の外出であっても、必ず全ての窓と玄関の鍵をかける習慣をつけましょう。空き巣は住人が在宅していると思い込んでいる家の無締り箇所や、こうしたわずかな留守の時間を狙って侵入します。
特に2階以上では油断しがちな小窓や浴室の窓なども忘れずに施錠することが重要です。日々の確実な戸締りが、空き巣被害を防ぐ最大の防御策となります。
空き巣対策に関するよくある質問

ここまで2階以上の賃貸物件における空き巣のリスクと対策について解説してきましたが、まだ具体的な疑問が残っているかもしれません。このセクションでは、オートロックの安全性や防犯グッズの購入先、部屋選びのポイントなど、空き巣対策に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
今後の防犯対策や部屋選びの参考にしてください。
オートロック付きのマンションなら絶対に安全ですか?
絶対に安全とは言えません。他の住民が入るタイミングで一緒に入る「共連れ」や、宅配業者を装って侵入する手口で簡単に突破される可能性があります。オートロックは第一の関門に過ぎないため、過信は禁物です。
個々の住戸の玄関や窓の施錠を徹底することが、最も重要な防犯対策となります。
賃貸で使える防犯グッズはどこで購入できますか?
補助錠や防犯フィルム、センサーライトなどの防犯グッズは、ホームセンターや家電量販店、防犯用品の専門店などで購入可能です。またインターネット通販サイトでも多種多様な製品が取り扱われており、価格や機能を比較しながら自宅に合ったものを選ぶことができます。
空き巣に入られにくい部屋選びのポイントは何ですか?
見通しが良く、死角が少ない物件を選ぶことが重要です。ベランダの近くに電柱や塀などの足場になるものがなく、外部からの視線が届きやすい部屋が望ましいです。共用部が清潔に保たれ、夜間も適度な明るさがあるなど、管理が行き届いている物件は犯罪の抑止力になります。
はじめての一人暮らしには「【一人暮らしのセキュリティ】今日からできる簡単防犯対策11選!生活習慣からSNSまで完全ガイド」もぜひ合わせてご活用ください。
まとめ
賃貸物件の2階以上に住んでいても、安全という考えは危険です。
ベランダ近くに足場になるものがあったり、建物の構造上死角が多かったりすると、階数に関わらず空き巣のターゲットとなる可能性があります。特に「少しの時間だから」と玄関や窓の鍵を開けたままにする住人の油断が最大の侵入リスクとなります。
対策としては、補助錠や防犯フィルムで窓の防御力を高めるとともに、センサーライトの設置も有効です。最も重要なのは、短時間の外出でも全ての窓を施錠する習慣を徹底することであり、日々の防犯意識が住まいの安全を守ります。
