空室対策「無料インターネット」における回線スピードの重要性と速度目安

大阪を中心に1万戸以上の不動産管理を行っている株式会社フェニックス管理です。
今回は空室対策の一環として注目されている「無料インターネット」についてご紹介します。

問い合わせ増加の原因にならないよう、高品質な設備提供で満足度の高いものにすることが重要です。
では何を高品質にするといいのでしょうか?それは「回線スピード」です。
回線速度の重要性と速度目安についても詳しく解説していきます。

無料インターネットの需要

以前「この設備がないと入居が決まらない!?入居に重要な人気設備TOP5」の記事で、この設備がないと入居が決まらない人気設備をご紹介しました。そちらは入居者様に取ったアンケートが出典となっておりました。

では不動産のプロによる目線からの調査ではどうでしょうか?
不動産情報サービスのアットホーム株式会社が実施した調査「不動産のプロが選ぶ!「2023年上半期 問合せが多かった条件・設備~賃貸編~」ランキング」によると、1位は「駐車場」、2位は「インターネット接続料無料」という結果となりました。駐車場は土地が必要になってきますが、インターネットはどの物件にも導入できる設備です。

このように無料インターネットは今や重要な要素となっており、賃貸マンションの空室対策において高い人気を誇る有力な設備となっています。

回線スピードの重要性

高速で安定した回線スピードがなぜ入居者にとって重要なのでしょうか?
それは現代の生活においてインターネットが欠かせないからです。

テレワーク、オンラインストリーミング、オンラインゲーム、ビデオ通話など、多くの日常的な活動はインターネットに依存しています。したがって、入居者にとっては速い回線スピードは生活の快適さを左右し、賃貸物件の魅力的な要素となります。

では、どのくらいのスピードがあれば十分な回線速度といえるのでしょうか?
総務省の固定ブロードバンドサービスの品質測定手法の確立に関するサブワーキンググループ(第6回)の配布資料「2021年度の実証報告および2022年度実証の進め方(案)」によると下記が推奨速度とされています。

主なサービスの推奨速度帯域

Web会議通話のみ:100kbps
ビデオ通話(HD):1.2~1.5Mbps
動画閲覧480p(DVDと同画質):1.1Mbps
1080p(フルHD動画):5.0Mbps
4K(UHD):15Mbps
遠隔医療オンライン診断:10Mbps

データ通信速度の単位

「bps」は「ビット・パー・セカンド」の略で、データ通信速度を表す最小単位です。
これはデータが通信回線を伝送する速度を示すもので、1秒間に何ビットのデータが通過するかを計測します。通信速度が高いほどデータがより速く伝送されることを意味します。

kbps(キロビット・パー・セカンド)1秒間に約1,000ビットのデータ
Mbps(メガビット・パー・セカンド)1秒間に約1,000,000ビットのデータ
Gbps(ギガビット・パー・セカンド)1秒間に約1,000,000,000ビットのデータ

回線の上りと下りとは?

上りと下りの回線速度はデータ通信において重要な概念であり、通信回線の性能を表す際に考慮されます。これらの用語について説明します。

上り速度(アップロード速度)

上り速度はデータを送信する速度を表します。具体的にはお手持ちのスマートフォンやパソコンからインターネットにデータをアップロードする際の速度です。

例えばファイルをクラウドにアップロードするときや、メールを送信するときに上り速度が関与します。上り速度が速いほどデータを送信するのが効率的で、ビデオ通話や大容量ファイルの送信がスムーズに行えます。

下り速度(ダウンロード速度)

下り速度はデータを受信する速度を表します。インターネットからデータをダウンロードするときの速度です。
例えばウェブページの読み込み、YouTubeなどストリーミング動画の視聴、ファイルのダウンロードなどで下り速度が影響します。下り速度が速いほど、コンテンツの取得が迅速で、高品質なメディアのストリーミングが可能です。

通信プロバイダーや通信技術によって、上り速度と下り速度は異なることがあります
通常、下り速度の方が上り速度よりも高いことが多いです。これは一般的なユーザーが多くのコンテンツをダウンロードすることが多いためで、多くのプロバイダーは下り速度を強化しています。

速度目安と計測方法

速度目安を設定することは、入居者の満足度を向上させるために重要です。
例えば、仕事でテレワークが普及した昨今はインターネットの安定した回線が求められます

余暇には高品質な動画の閲覧も多くの入居者にとって重要です。
速度速度を高く設定することで、高解像度の動画をスムーズに視聴できるようになります。
回線速度が遅いと「ネットが繋がらない」「ネットが遅い」と問い合わせの増加に繋がる可能性もあります。
せっかく導入しても使われなければ意味がありません。

インターネット
速度テスト

(Google)
Fast.com
(Netflix)

ただし計測ツールによって差が生じてくる場合があるので、まずはご自宅で契約している内容に近い結果が出るものを目安に使ってみるのもいいでしょう。
今回ご紹介したのは2個はウェブサイトですが、スマートフォンの計測専用アプリなどもあります。

レイテンシとは?

「レイテンシ」はデータ通信や情報処理において、データが送信元から受信先までの往復にかかる時間のことを指します。レイテンシは時間単位で測定され、遅延時間や応答時間とも呼ばれます。

例えば、オンラインゲーム、ビデオ通話、リアルタイムのデータストリーミングなどは低いレイテンシ(短い遅延)が重要です。高いレイテンシ(長い遅延)は、通信の遅延やタイムラグを引き起こし利用者の満足度を悪化させる可能性があります。

テレワークで画面が停止してしまったり、動画ストリーミングサービスで映画を見ているときに動画が止まってイライラした経験はないでしょうか?
そのような「無料インターネット」の提供では、いくら人気設備を導入したといっても自己満足になってしまいかねません。

計測時の注意事項

さらに計測時間帯において計測結果が変動する場合があります
一般的に夕方や夜になるとインターネット利用者が増加する傾向があるため回線が混雑することがあります。混雑するということは速度が遅くなるということです。

価格重視のプロバイダだと、ピークタイムは大混雑して使い物にならないこともあります。
また周辺環境や厚いコンクリート造りの建物、古いネットワーク設備によっても速度が遅くなる可能性があります。

導入前に、目安とする回線スピードが、立地や時間帯が変わっても安定的に確保できるのか確認しましょう。

より高品質なインターネット回線を求める入居者様には、用途にあったインターネット回線をご自身で契約できる環境を提供するよりいいでしょう。  

まとめ

無料インターネットの需要が高まる中で、回線スピードの重要性や遅延時間を示す「レイテンシ」はますます注目されていくでしょう。入居者は快適なインターネット環境を求めており、回線スピードの遅いインターネットは不満を引き起こす可能性があります。

無料インターネットを提供する場合、速度目安を設定し、安定的に速度目安が供給される業者を選ぶようにしましょう。建物の造りや立地によって電波の入り具合も変わってくるので導入前にしっかりと確認するようにしましょう。